滋賀の名品、
16世紀(天文年間)に南蛮貿易でポルトガルより伝来したビロードは、江戸時代(1650年頃)に、日本で生産が始められたといわれています。そして江戸中期に長浜にその製法が伝えられ、その後ジャカード織機を使用した柄織が始められました。それから、ビロードの肌触りを着物の生地に生かす工夫がなされ、輪奈ビロードのコート地が生まれ、長年コート地の最高級品として愛され続けています。現在、当社は日本で数少ない、輪奈ビロードのコート地を製造している企業としてその伝統を受け継いでいます。
心華やぐ、 軽い着心地、
優れた保温性、心地よい肌触り
輪奈ビロードの生地は、タオルのように糸が輪になることで美しい柄が作られています。また、軽い着心地や優れた保温性、心地よい肌触りは、絹と空気が織りなす軽やかな風合いによって生まれています。この生地は、フォーマルな場面だけでなく、カジュアルな装いにも上品さと華やかさを添えます。

織る
輪奈ビロードは、生地の表面にループ状の輪奈を形成し、その配置によって美しい模様を作り出します。輪奈を形成するためには、経糸を使用して芯材を織り込みます。着物やコート地1反を織るのには、通常3~4日かかります。この工程は製織と呼ばれます。

切る
輪奈ビロードでは、輪奈(ループ)の糸を手作業で一つ一つ丁寧に切ります。これにより、糸が毛羽立ち、ビロードと呼ばれる部分ができます。この工程は紋切りと呼ばれます。

抜く
紋切作業が終了した生地から志材を抜き取ります。1度の生地(長さ 1 1 5 0 c m )には約 1 万 5 千本の花材が織り込まれています。針抜きも手作業で行います。細い生糸はわずかな引っ掛かりでも傷の原因となるため、一定のスピードで注意深く抜き取ります。この工程は針抜きと呼ばれます。


